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これは左前タイヤハウスを下から見たところ。緑色矢印部分がオーバーフェンダー、黒色矢印部分がサイドウィンカー、青色矢印部分がラジエーターのリザーバタンク、赤色矢印部分が今回問題となるラジエーターの液漏れ部分。
ホースとリザーバタンクの繋ぎ目の赤色矢印部分からラジエーター液がにじんできます。以下のような原因が考えられます。
1. ホースに亀裂が入っている。この場合はホースごと交換する。
2. ホースバンドが緩くなってきて液漏れをおこす。純正のホースバンドはショボイのですぐに緩んできます。ボルトで締め付けるタイプのステンレス製のホースバンドにかえる。リザーバタンクの赤色矢印部分のホースを取り付けるところは円柱状ではなく微妙に楕円柱になっているので、ホースバンドはダブルで付けた方が密着する。
3. リザーバタンクの上部のリリーフが正しく行われていない。この場合はリザーバタンクを外し、リリーフバルブ(リリーフバルブというほどのご立派なものではないが...)周辺に汚れなどが付いていないか確認してみる。
4. ラジエータ液を補充しすぎてリザーバタンク内のラジエータ液が多くなりすぎて、上部のリリーフバルブからクーラントがあふれ出て赤色矢印部分へつたってきている。
5. リザーバタンク自体に亀裂等がある場合は修正。ひどければタンクごと交換。
6. ラジエーターキャップをハイプレッシャーのものにした場合、圧が強すぎてラジエーター、ホース等にかかる負担が大きくそこから液漏れを起こし、リザーバタンクからの液の戻りができない状態になってしまう。キャップを純正ものにもどすか、10lb 、15lbぐらいのものにする。
7. ラジエーターキャップを閉めたとき、キャップとラジエーターが完全に密着していない。この場合はラジエーター側の口が変形しているので、完全に密着するようにペンチ等で修正する。完全に密着していない場合はクーラントをいくら補充しても液面が下がる。(液が戻ってこない状態)
青色丸部分のナット1箇所(13/32インチ又は10mm)を外し、ピンク色矢印部分のホースバンドを外してホースを抜き、リザーバタンクをタイヤハウス側からホースごと抜き取ります。黄色矢印部分のホースが上の写真の赤色矢印部分のリザーバタンクへつながっています。
リリーフバルブ?(オレンジ色矢印部分)は大丈夫でした。赤色矢印部分のステーはタンクに2箇所でプラスチックのリベットのようなもので止めてあり、そこからひどく液漏れがありました。新品を買うつもりもないのでシリコンセメダインで塞ぎます。水色矢印部分はホースへつながる口です。よって「3.」、「5.」はクリア。
原因がわからなかったのでとりあえずホースを強化モノへ交換しました。これで「1.」がクリア。タンク側のホースを取り付ける部分の口(上写真の水色矢印部分)は、よく見ると正円柱状ではなく微妙に楕円柱になっているし何となくそってもいる。よってホースバンドはダブルで付けた方が密着する。これで「2.」もクリア。
部品名 JURAN SILICONE HOSE 色 青 品番 32735 内径 6mm 外径 12mm 価格 \2,100 購入先 ビッグワン 購入日 2003年
白色矢印部分は純正ホースが触れていたところで、こすれて塗装がはがれていたのでこのような配管にしました。はがれていたところは耐熱ペイントで塗っておきます。
いろいろ調べた結果、原因の一つはこのハイプレッシャーキャップ。圧力が強すぎるわけです。良くない評判をたくさん聞きます。
部品名 レース用ラジエーターキャップ オリジナル GARAGE AUTO DELTA 圧力 1.40kg/cm2(137kPa) 価格 \3,000 購入先 名古屋オリエンタル自動車 購入日 2003年
純正のキャップの圧力は0.7kg/cm2(110kPa)前後で、このハイプレッシャーキャップは1.40kg/cm2(137kPa)とかなり高い。圧力を強くすることによってクーラントの沸点を上げオーバーヒートを起こさせないようにするというわけだが、リスキーな部分もある。
純正のキャップの場合、圧力は0.7kg/cm2(110kPa)ですが既に大気圧(1.0kg/cm2)がかかっているのでラジエーターには1.7kg/cm2の圧力がかかっていることになる。この場合の沸点は「約111度強」ということになる。(下表参照)また1.40kg/cm2(137kPa)のキャップの場合は大気圧を加算して2.40kg/cm2となり130度になっても沸騰せずに冷却機能を果たします。
キャップ圧+大気圧(1.0kg/cm2) | クーラント沸点温度 |
---|---|
3.0kg/cm2 | 140.6度 |
2.4kg/cm2 | 130.7度 |
2.3kg/cm2 | 126.5度 |
2.1kg/cm2 | 124.5度 |
2.0kg/cm2 | 120.3度 |
1.9kg/cm2 | 112.6度 |
1.5kg/cm2 | 111.6度 |
1.0kg/cm2 | 100.0度 |
上の表でもわかるとおり、圧力を上げると確かに沸点は上がりクーラントは沸騰しにくくなり冷却機能をはたします。しかしホースの繋ぎ目、ラジエーター等にかかる負担も大きくなりクーラント漏れやホース、ラジエーター等の寿命を早めることになる。
ハイプレッシャーキャップを装着するのならば、その前にそれらを強化してからにした方がよいが、このようなリスクはさけられないということになる。それ以前に、これはレース用なので一般車に装着することは全く必要なしといえるのである。
このようにいろいろ考えると原因と対策が見えてきます。念のためラジエーターまわりを確認してみたらロアホースの繋ぎ目からクーラント漏れがありました。写真位置は左タイヤハウスの小窓です。ここからロアホースの繋ぎ目部分が見えます。このままほかっておいたら数日でクーラントが空っぽになります。 応急処置として建築用の「シリコンシーラントセメダイン8060 (ホームセンターとかによく売っている、浴槽などで防水用に穴埋めで使うヤツ)」というもので埋めておきました。耐熱設定温度が200度を超えているので車にも対応できると思います。でも圧力に耐えられるかなぁ?小さなすき間ぐらいなら耐えられるはずです。
青色矢印部分が圧力弁、赤色矢印部分が負圧弁。クーラントがキャップの圧力以上になったとき圧力弁が開きリザーバタンクへ流れ、キャップに負圧がかかったとき負圧弁が開きリザーバタンクからラジエーター内へ流れる。という仕組み。
このハイプレッシャーキャップが原因でラジエーターのロアホースからクーラント漏れが生じ、クーラントの戻りの際の負圧弁が機能しにくくなっていた。でも、圧力弁は機能していてリザーバタンク方向へのみ流れるだけで、リザーバタンクのリリーフバルブからクーラントがあふれ出て下へポタポタ落ちていた。
対策としては、純正キャップに戻し、ロアホースの漏れ部分をふさいだ。といった感じです。これで「6.」がクリア。
しかし、まだ液漏れがおきました。